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  • 執筆者の写真岡田 真幸

こってり好きも満足『ぎんだら西京焼き』

もっと割烹を美味しく、楽しく。 麻布 あみ城〈逸品小話〉


今回は『ぎんだら西京焼き』について。


皆さんは「西京焼き」とはどんなお料理か、ご存知でしょうか。


端的に説明すると

「西京味噌(京都の白味噌)で漬けた食材を焼いたもの」

ということになります。

「西京味噌」は現在、特定の銘柄になっておりますが、

大雑把に言い換えると「京都の白味噌焼き」というわけです。


「味噌といえばこれ」と自分が思っているものでも

実は「その土地に根ざした味噌」。

日本全国、土地によって味、色、麹、原料の産地で

様々な種類があるのです。


現在、関東の一般的な味噌は濃いめの塩気があり、

長時間の熟成、発酵を要し、日本人の肌にしてはよく日焼けした、

小麦色のような明るい茶色です。

対して「西京味噌」とは、たっぷりの米麹、控えめの塩分から生まれる、

濃厚でしっかりとした上品な甘み、薄く黄色がかった白いお味噌。

国内の味噌の中では熟成期間が短いため、

原材料や麹の品質、職人の腕がもろに反映されてしまうといわれる、

非常に繊細な味です。


塩分が少ないということは長期保存に向かず、

作り方や材料調達が難しいこの京都の白味噌。

なぜ生まれるに至ったのでしょうか。


遡ること約200年前。 当時、腕が良いと評判があったある味噌蔵へ宮廷から命令があり、

宮廷料理にふさわしい味噌を作ることになりました。


長い間、日本の都であったことから当時の京都は、

武士よりも公家の人々が多く住む土地。

労働によって必要な塩分補給よりも、

嗜好品としての甘味が求められました。

さらに、当時は貴重だった米を大量に使用して作るというのも

公家の文化圏ならでの贅沢な発想。


この出来事をきっかけに生まれ、

献上された味噌が「西京味噌」の始まりです。

呼び名の由来は、明治維新で日本の中心地が「東京」になり、

対して京都のことを「西京」と呼んだところから。

京都では正月をはじめとしたおめでたい節目、

「ハレの場」の料理に重宝されるようになっていきました。


上流社会で生まれ愛されるこの味を、 当店では脂がのった、銀鱈で。


銀鱈は正確には鱈ではなく「カサゴ」の一種であり、大型の深海肉食魚。 まるでお肉のような満足度があるので、ハンバーガーが好きな若い人にもぜひ召し上がっていただきたいお魚です。


そんなこの一品。 できたてはすごく柔らかく、ジューシー。

ほんのり香る西京味噌と日本酒の風味。 一般的な西京漬けのレシピではみりんを使いますが、

食材が固くなるため、当店は不使用。その味噌床は企業秘密です。


絶妙な漬き加減のため、白いご飯なしでも食べられてしまいます。 なので少食の方にもおすすめ。

冷めていくと少し食感がしっかりして味が濃くなるので、

最初の方に頼んで少しずつ食べながらお酒のアテにするのも良いでしょう。 かなり酒粕のような風味もあるので日本酒だけでなく、白ワインも良いかもしれません。


今回のお話いかがでしたでしょうか。 読んでくださったあなたの毎日のお食事の時間が、より豊かになることを願います。


麻布 あみ城



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