岡田 真幸
馬肉を味わいたい人にこそおすすめ『馬刺し カルパッチョ』
もっと割烹を美味しく、楽しく。 麻布 あみ城〈逸品小話〉
今回は『馬刺し カルパッチョ』について。
当店は馬刺しのメニューがいくつかあり、こちらはその1つ。
「せっかくの新鮮な馬刺しをカルパッチョにしたら、もったいないのでは?」
「食べるならシンプルな赤身のお刺身で」
「そもそも馬刺しとカルパッチョのソースが合うのか?」
などとお考えになる方が多いのか、このカルパッチョはご注文されるお客様がそこまで多くありません。
しかし、一度召し上がったお客様はおかわりされることもしばしば。
この差はただの好みの問題ではなく日本での一般的なカルパッチョという単語からくるイメージによって、上記のように誤解されてしまっているように思います。
実はこのカルパッチョ、馬刺し好きの方にこそ召し上がって頂きたい一品なのです。
そもそもカルパッチョはイタリア発祥の料理。 本来は生の薄切り牛ヒレ肉にチーズやオイル、ソースをかけたもの、なのだそうです。
日本では鯛、サーモン、マグロなど鮮魚を使ったものが多く、前菜のジャンルに分類するお店も少なくないので、少し意外ですよね。
カルパッチョの誕生経緯は定かではなく、3つほど説があります。
どれも共通しているのは
「カルパッチョ」というイタリアの画家(15〜16世紀頃)に由来するということ。
説の1つでは、この画家が上記のような食べ方を好んでよく食したことから呼び名が付き、生まれたとされています。
芸術家には「何か一つのものを偏愛する」ということがよくありますが、このカルパッチョも、おかわりされるお客様がいるのも頷けるものとなっております。
何故なら、私達の知っているカルパッチョよりもずっとまろやかで塩気が少なく、びっくりするほど馬肉の良さ一色のシンプルな味わいになっているからです。
赤身とたてがみが紅白に並んだ美しい色彩。 かかっているソースはわずかな酸味と塩気があり、
オリーブオイルのまろやかさがぐっと活きた薄味。
たてがみと赤身を是非一緒に一口で、しっかり薬味とソースをつけてお試しください。
すると、たてがみの脂の濃厚さと、赤身の少し物足りないような淡白さが上手くお互いを補い合い、さらにソースが赤身の旨味を強調。
後味はとてもさっぱり。
一度口にすれば止まらず、お酒いらずで際限なく食べられてしまうほどです。
おそらく、たてがみが苦手な人でも大丈夫でしょう。
全体的に薄味のため、お酒でほろ酔いになる前、
一番最初にお召し上がりになることをおすすめします。
馬刺し好きの方、 馬刺しをあまり食べたことがない方。
このカルパッチョをお試しいただければ、
お気に入りの馬刺しの楽しみ方の1つになることでしょう。
今回のお話いかがでしたでしょうか。 読んでくださったあなたの毎日のお食事の時間が、より豊かになることを願います。
麻布 あみ城
